先週土曜日、本年度の最後の集合日を終えました。開墾から始めたつくし農園を一巡りして、また次の一巡りへ。命が閉じゆくこの季節のですが、少ない作業の中にも次の命へのつながりをイメージしながら手を動かし、観察し、そして風を感じる。何もすることがない時だからこそ、その中で田畑の命はどんなメッセージを発しているか、そんなことに耳を傾けられる季節なのかもしれません。
午前中は、実習畑での麦踏みと苗床準備の実習を行いました。10月に播種した麦は寒の入りを迎えたこの時期、霜柱で持ち上がる表土に根っこが影響を受けて枯れてしまうことがあります。それを防ぐ方法として、播種した箇所を踏み歩きます。そうすることで霜柱による隆起を抑えることができます。草が残る自然農の畑では通常の畑よりも霜柱の害が少ないとはいえ、麦踏みをすることは必要だと思われます。普段はあまり畝の上を歩くことを躊躇われる自然農ですが、唯一この麦踏みの時だけは、心置きなく(もちろん優しく)畝を歩ける作業です(笑)。
また、冬作業の一つとして苗床の準備も実習しました。苗床は土を多めに動かすことになりますが、冬の間に予め「補い」をしておくことで春の播種の際に地力を保ちつつスムーズな苗床作りに臨むことができます。
寒い中でも皆さん真剣ですね 苗床準備はこんな感じで
実習の後、出席したプレーヤーさんの区画の振り返り見学も行いました。1年間のつくし農園での取り組み、現在の畑の様子、それぞれの言葉の中に、様々な発見や抱負などが込められ、あらためて個性あるプレーヤーの集まる農園ならではの集合日を感じることができました。
自由参加の実習では、黒豆の脱穀と唐箕選別、貯蔵穴での芋の保存確認なども行いました。黒豆(大豆全般同じです)は、カラカラに乾燥させてから米袋やバケツの中などで豆と殻を叩いて脱穀し、唐箕を使って選別します。運悪いことに前日の大雨の湿気によって干しておいた株が湿ってしまって脱穀がスムーズにできないハプニングがありましたが、見事に唐箕ひとつで殻と豆に選別できる様子はなかなか面白い実習となりました。また、12月の実習で行った貯蔵穴での保存の可否も確かめてみました。貯蔵庫に被せた土、稲藁、籾殻、ムシロを順番に取り除き、いざ芋を確認。 半信半疑でその効果を確かめると、見事に全て低温障害を被ることなく保存できていました。自然と、昔からの知恵って素晴らしいです、そして、面白いです。
それぞれの区画を観察中 黒豆を唐箕を使って選別します
お昼前には、旧物置の撤去と荷物の搬出、新物置の整理を行いました。急場しのぎでホームセンターで購入したビニル製の物置小屋は紫外線(?)の影響でボロボロに破れて1年を待たずに使えないものになってしまいました。安物のせいでもありますが、この一方向的な低耐久性には、あらためて考えさせられるものがあります。そうした経験を踏まえての新物置の使い方、予定している構築物の準備など、天然素材をできるだけ有効利用していきたいものです。
風が冷たくなってきた午後には、田んぼでの実習を行いました。稲刈り、脱穀をほぼ済ませた田んぼを眺めて、今期の振り返りを畑と同様に参加プレーヤーさんの言葉を通してそれぞれに感じていただきました。季節季節でのプレーヤーごとの作業の違いが結果として雑草の様子や収量に反映された様子は、あたりまえではありますが一つ一つの手の加え方が全体の命の経過に確実につながっていることを思い知らされます。そして今年のその結果がまた来年の田んぼの様子にどのようにつながっていくのか、それもまた実に楽しみとしながら観察を終えることにしました。
最後に、稲架賭けに使った竹竿一式を、畑にある保管場所へ皆で運び戻しました。田畑、資材、農具、が季節季節に応じて準備して片付けてまた利用して、という一巡りも、農作業の一環といえるかもしれません。切り出して3年を過ぎた竹材は、少々ガタが来ているモノも増えてきました。また切り出して乾燥させて、という作業も視野に入れつつ、片づけを終えることができました。
1年間、お世話になりました。そしてまたよろしくお願い致します。