6月の後半は田植え実習、7月は観察会および田植え補習を行いました。残念ながら写真を撮りながらの説明ができないので、今回はあまり写真がありませんが御了承ください。
自然農の田植え、ひとことではなかなか説明できません。「田植え?知ってる知ってる。やったことあるよ!」という方も、自然農の田植えをいざ目の当たりにすると、ほとんど目を点にされます。さあ、言葉だけでどこまで通じるか? 初めての人は理解できないかもしれませんが、経験者は今後の復習に利用してくださいませ。
田植え準備
まずは耕しませんから、つまり代掻きしませんから、泥ではありません。基本的に草が生えています。泥の中にちょいちょいちょい、と植えていく田植え感を一変させる、コペルニクス的転回が必要となります(笑)。 田植え前に、まずは苗が負けないように丁寧に草を刈り、その場に敷き倒します。きちんと根本から刈り、草を敷くことで、下の雑草が生えにくくなり、田植え後の草刈りのタイミングを遅らせることができます。(もちろん田植え後の様子に応じます。)
草刈り後の様子です。奥の区画は草刈り前ですね。
さて草を刈り終えたら、田植えを等間隔に行うための目安棒等を用意します。川口さんが御指導されている田植えの間隔は、条間40cmの株間20cmです。株間の20cmは一般的に稲が隣の稲とぶつかり合わずに伸び伸びと育てる間隔とされ、条間の40cmは、草刈りなどの作業に人が入る時に作業しやすい間隔とされてます。田んぼが豊かになっていくと、株間を30cmなどに広げても、変わらない収量になるということです。
という間隔を測るために、紐や棒で40cmの等間隔を計れるメジャー紐やメジャー棒を作り、、それを使って田んぼの横に条間の目安棒を立てていきます。目安棒は、枯れたセイタカアワダチソウや篠竹などを利用できます。
次は苗床から苗を取ります。苗は種播きから二ヶ月ほど経ち、茎葉にに負けぬほど根っこを伸ばしています。苗を取るときにできるだけ根っこを痛めずちょん切らずに取るようにしましょう。バケツや田んぼの水の溜まっている場所で根っこと土を洗うようにほぐすと、スルスルっと隣り合った苗の根っこがほぐれていきます。苗を必要な分だけ取れば、いよいよ田植えです。
田植え
田植えは、まずは左右の目安棒にあわせてメジャー紐やメジャー棒を引き、直線に苗を植えられるラインを出します。メジャーには40cm(もしくは20cm)間隔のシルシを予めつけてますので、そのシルシにあわせて苗を植えていきます。泥の中に植えるのではなく、草や土や根っこの間に植えていきますので、植え箇所の土を鎌やスコップなどで裂け目を作ります。その裂け目に苗の根っこをつまんでそっと挿し入れてあげます。湿り気のある土の中に苗が収まり、軽く引っ張っても抜けないようにキュッと土や刈り草を抑えてあげれば大丈夫です。鎌で裂け目を入れ、苗を挿す。裂け目、挿す。裂け目、挿す。そうして一列植え終えたら、メジャーを目安棒一つ下げて、次の条に移していきます。
これでひとまず、田植えは終了です。一区画植え終わると、腰がメリメリいってくると思います。
雑草管理
田植え前に雑草を刈りましたが、そこから既に稲苗と雑草の競走は始まっています。苗が根付いて背丈を伸ばし始める頃、刈った後の茎から、さらに刈り跡の根っこから、苗に負けじと雑草も伸びだします。理想的には、田植えから二週間から三週間くらいに一度草刈りに入りたいものです。そのタイミングで雑草取りに入ることで、苗の成長期に隣り合う雑草が少なくなり、グンと勢いをつけ始めます。
6月の半ば過ぎに田植えを開始して7月の上旬が、草取りの最初のタイミングにあたります。7月の集合日は、田の草取り実習を行いました。もちろんまだ植え終わってない苗は、植え終えたい最終リミットの頃でもあります。この草取りの頃、正確に植えたはずの株間に、おそらくポツリポツリと苗の見当たらない箇所が目に付くはずです。それは恐らく植え方が悪く浮いてしまって枯れた箇所であったり、雑草に負けてしまったり、ザリガニがいたずらしてハサミで切ってしまったり、そんな場所のはずです。そういう場所には、苗代から余っている苗を補植してあげましょう。田植え時に、自分の苗を植え終わったからといって全て刈り取ってしまったりすると、こういう時にスペアがききませんので、補植の時期が過ぎるまで苗を少量残して置くようにしましょう。
草刈りは、お尻で隣りや後ろの稲を倒さないように注意して行います。また雑草にまぎれてしまった稲も刈ってしまうことがないようにも御注意ください。一回目の雑草取りの後は、草の様子に応じてですが、出穂(しゅっすい)まで平均1〜2回ほどの草取りが必要です。
おまけ
…とここまでは通常の水田での自然農栽培。これに加えて、実は最大にして最重要な、要の任務が存在します。それが、水の管理です。田植え前には田植えしやすいように水位を下げ、田植え直後は根が活着しやすい&雑草を抑えるために水を入れ、また田植え時には水を落とし、草刈りの時も管理しやすいように水を落とし、そうじゃない時は通常は水を入れていわゆる水田状態にしてあげ、云々云々、さらには畦道が崩れて漏水したら畦を直し、そんなこんなの七転八倒と毎日の労苦に振り回されるのが水の管理なのです(汗)。
…しかし、つくし農園、やることが違います。水の管理、一切ありません。それはなぜか。つまりつくし農園の田んぼは、もともと天然の湿地であり、大昔に自然に利用していた水田であり、近代的な水路どころか旧来の水路も一切周囲ないという場所にあります。周囲の土地の"へそ"のようなくぼ地であり、川に続く源泉のような場所であり、その水源は、回りの土地からの沁み水なのです。近代農法から取り残されたその土地は、優に十数年という年月を放置され、葦や蒲、その他不明の水草雑草が繁茂する、亡骸の層が最初から存在するスペシャルな田んぼなのです。唯一にして最大の欠点は、水の管理ができないこと。枯れても、足りなくても、保水する術は一切ありません♪ 雨、雨、雨しかないのではありますが、今年に限ってのこの空梅雨、さてどうしたものか、というところではありました。
ところが、、、、なのです。この二週間、雨らしい雨は一切この地域には降ってませんが、刈り草の下、そして稲株まわりの土は、とってもジューシーな水を蓄えて乾く気配がありません。恐らく、想像がつかないほどに張り巡らされている雑草の根っこの超密群生が、まさしくスポンジとして水をぎっちりと保水していて、さらに表面を覆う刈り敷いた厚めの雑草シートが乾燥を防ぎ、なんとかかんとか水分を蓄えているのではないでしょうか。雨も降らず、深水にもできず、雑草の繁茂と分蘗の低迷が心配されるところですが、今の所、なんとか、(もちろん雨が欲しいことには変わりありませんが)絶望的な状況ではないのが救いです。自然の神秘、奥深さ、そしてそれを追い風に変える自然農のダイナミズムの真骨頂といえるかもしれません。
少々大袈裟かつ興奮気味の報告になりましたが、この一ヶ月の田んぼの状況は以上です。
疲れたーーー!!!
夜の様子?? 6月の田植え集合日は夏至に合わせて「キャンドルナイト」を、7月集合日は、今年2回目の「懇親会(夏のビール祭り♪)」を開催しました。無論、楽しかったですよ(笑)!! 作業して、ビール飲んで、普段交流しきれない、色々な話を楽しめるという機会は、 やっぱり時々あったほうがいいですね♪
蝋燭夜、食べ物が見えない・・・ 7月懇親会!美味しそう♪
ということで、こんな素敵なオードブルで飲み食いしたということで、今日はこの辺でお開きにしたいと思いまーす。
ん?畑の実習?? えーと、勘弁してください(泣)!! 暑すぎて、参加したプレーヤーの各区画を見学会を行いました♪ いやー、為になりましたぜ。